“サードウェーブ”? コーヒーの世界の今を知る!

「サードウェーブ」という言葉、2015年の流行語大賞にもノミネートされました。アメリカにおけるコーヒーの潮流を指すのですが、「サード」があるからには、「ファースト」、「セカンド」もあります。順に解説していきましょう。

コーヒー業界 3つのウェーブ 

●ファーストウェーブ

1800年代終わりから1900年代初頭に起こった、コーヒーを広く普及し、家庭でも飲んでもらおうというメーカー主導の動きがファーストウェーブです。密閉容器や真空パックも生まれ、スーパーマーケットでコーヒーが簡単に手に入るようになりました。ただし、品質は二の次、利潤を追求した大量生産コーヒーでした。

●セカンドウェーブ

セカンドウェーブは美味しさ主体のムーブメントです。コーヒー豆の生産地や焙煎方法を重視した、シアトルの「スターバックス」、サンフランシスの「ピーツ」といったチェーンがこの流れの旗手です。いずれも最初は“スペシャルティコーヒー”(*)を扱う小さな店でしたが、のちに世界的なチェーンに発展。セカンドウェーブでエスプレッソを使ったアレンジコーヒー(ミルクを加える前提のコーヒーとも言われました)が世界的に普及しました。

(*)スペシャルティコーヒー:コーヒー豆からカップの中まで、すべての段階において一貫した体制・工程で品質管理が徹底されているコーヒー。

●サードウェーブ

サードウェーブという言葉が初めて世に出たのは2002年。アメリカのコーヒー焙煎組合の出版物でサンフランシスコのカフェオーナー、トリッシュ・ロスギブ氏が使いました。サードウェーブでは、一杯のコーヒーにかける思いは、職人的…作家が作品にかける思い入れと並ぶと言っていいかもしれません。

アメリカ、オレゴン州ポートランドの「スタンプ・コーヒー・ロースターズ」はサードウェーブのきっかけとなったコーヒーショップの1つです。厳選した豆を現地から直接買い付け、自家焙煎し、豆に合った抽出をします。コーヒーをワインのように、栽培された土壌や品種の特長で味や香りを表現するのも特徴で、そうした豆自体の魅力を表現するためにブレンドせず、単一豆(シングルオリジン)を浅煎りにし、コーヒーメーカーではなくハンドドリップで淹れる店が増えました。

 

アメリカのあるコーヒーバルのサイトで、「サードウェーブな店」の特徴がわかりやすく解説されていました。

【サードウェーブな店】

・自家焙煎、あるいは手作業で焙煎するロースターに頼んで、少量ずつ焙煎したスペシャルティコーヒーの豆を使っている。

・コーヒーは“生もの”として扱い、焙煎して7~14日の豆に限り使っている。

・やや浅めに煎った豆を使うことで、コーヒー本来の風味のニュアンスを1杯に表現する。

・使用する豆がどこで、どんな人たちによって生産されているかを知っている。

・いろいろなコーヒーを味わってもらうために、客にはハンドドリップ、水出し、エスプレッソなど多様な抽出方法を勧める。

 

各国のコーヒー文化

2015年、サンフランシスコのマイクロロースター(小規模の焙煎家)&カフェ、「ブルー・ボトル・コーヒー」日本1号店が東京・清澄白河に、ブルックリンの「ゴリラコーヒー」が渋谷にそれぞれオープンし、日本でもサードウェーブの流れを汲んだ「自家焙煎」のコーヒーを「ハンドドリップ」で抽出するカフェは続々と増えています。

さて、アメリカや日本以外の国ではどのようなコーヒー文化があるのでしょう。お隣の韓国は2000年あたりからアメリカのコーヒーチェーンが進出し、その後、韓国発のコーヒーチェーンも次々とできて、国内は飽和状態。日本など、海外への出店も始めているようですね。

タイではかつてアヘンの栽培地だった土地をコーヒー農園にするという王室プロジェクトがあり、「ドイトンコーヒー」として販売されています。この豆を使った「ドイチャンコーヒー」チェーンでは、注文が入ると豆を挽き、ハンドドリップで一杯ずつていねいにコーヒーを淹れてくれます。

ヨーロッパではどうなのでしょう?

イタリア、スペイン、ドイツ、オーストリアなど独自のコーヒー文化がありますが、紅茶の国、イギリスでもコーヒーチェーンが増えているという話を聞きました。

イギリスの食研究家、羽根則子さんは「イギリスにもサードウェーブの波は来ています。アメリカのコーヒーチェーンだけでなく、自国のコーヒーチェーンも20年ほど前から街の風景の一部としてすっかり定着していて、会社で紅茶を淹れていたのが、外でコーヒーを買って来るのも珍しいことではなくなりました。イギリスも紅茶文化の前、17世紀にはコーヒーハウス文化が隆盛を誇っていたので、コーヒーを楽しむ土壌はあるのです。紅茶の消費量は減っているのが現状ですが、家ではやっぱり紅茶を飲みます。コーヒーを飲むとしたらインスタントコーヒーが主流ですね」と教えてくれました。

ちょっとした雑学。コーヒーを飲むときの会話のきっかけにでもしてくださいね。

参考:Riding the 3rd Wave.|Bean Drinking

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